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入局のご案内
内分泌外科の魅力
内分泌外科学が診療対象とする疾患には、甲状腺、副甲状腺、副腎など臓器横断的な疾患、しかも治療によって劇的に症状を改善できる機能性疾患から、病理組織型や臨床的リスク分類 によって区別される様々な腫瘍性疾患が存在し、その診療にはきわめて高い専門性が要求されます。
正しく美しい診療によって患者さんの症状は劇的に改善し、エビデンスに基づく説明と対話によって患者さんの不安を和らげつつ治癒に至らせることもできる、医師にとって非常に魅力的な 領域です。
外科学全般についての知識,技術,経験の基盤のうえに,確固としたスペシャリティを持つこと で,医師としての生活(臨床,研究,教育)に常に意欲を持って取り組むことができるのです。
若い内分泌外科医育成の重要性
従来は内分泌外科で扱う病気は比較的頻度の低い疾患という印象がありました。しかし、たとえば甲状腺癌ひとつ取り上げても、近年の検診における超音波検査(頸動脈エコーなど)やPET検 査の普及により、全世界的にその発見率は上昇しています。
しかも、わが国では2011年3月11日の東日本大震災にともなう福島第一原発事故もあって、一 般大衆の甲状腺癌に対する関心(不安)もかつてない高まりを見せており、今後、検査対象の拡大から考えて、患者の急増が予想されます。このような社会情勢の中で、疾患についての 正しい知識と診療能力を有する内分泌外科を専門とする医師の必要性が高まっています。
日本医科大学内分泌外科学教室の教育方針
各種専門医資格を早期に取得するための体制は万全です。最短で卒後5年目で外科専門医を 取得でき、その後、内分泌外科専門医受験資格を得ることができます。そのほかにも各人の要 望に応じて各種の専門医資格を取得するための支援を行います。
一方、私たちは若い内分泌外科医の育成にあたって、通りいっぺんの知識の伝授ではない、実 地臨床の場での明確な目的を持った指導、ひとりひとりの患者さんの自由意思に基づくインフォ ームド・デシジョンを重視した治療方針決定のための治療選択肢の提示方法、ひいてはその裏 付けとなる臨床的・基礎的エビデンスの築き方といったことを教育し、アカデミック・サージャンを育てることに意を注ぎたいと考えています。
また、当教室では若手医師の国内・海外での学会活動や論文発表指導に情熱を注いでいます。
まずは、毎週の症例検討会(科内カンファレンス)を通して、プレゼンテーションや討論の 訓練を積んだうえで、院内の各種カンファレンス(病理カンファレンス、内分泌内科との合同 カンファレンスなど)や地域の勉強会(清水一雄名誉教授が始めた大江戸手術手技懇話会や 分子標的薬治療に関するものなど)にも積極的に参加してもらいます。
日本内分泌外科学会などの国内学会での発表の機会もふんだんに与えられます。さらに、 国際内分泌外科学会などの国際学会での発表や英語論文作成指導も行い、グローバルな 人材の育成を目指しています。
日本医科大学内分泌外科学教室の特徴~臨床
臨床面で特記すべきこととして、日本医大内分泌外科には先達の先生方が築き上げた 内視鏡補助下頸部手術(VANS法)、副甲状腺腫に対するナビゲーション手術や副腎に対する 内視鏡手術といった低侵襲手術の伝統があります。
また、とくに甲状腺癌に関しては、微小癌のアクティブ・サーベイランス(非手術経過観察)から 頸部拡大手術、分子標的薬治療などによる集学的治療まで幅広い診療体制を構築しています。 患者さんに対して示しうる妥当な治療選択肢の幅を広げ、 対応力を向上させることで患者さんの信頼を得、多くの患者さんを集めています。 他科の先生方やメディカル・スタッフとの関係も良好で、万全の連携ができています。
日本医科大学内分泌外科学教室の特徴~研究
内分泌外科学の臨床研究においては、まず集積されたデータをレトロスペクティブに丁寧に 解析し、得られた結果に基づいて妥当な方針を決定し、それ以降、プロスペクティブな検証を 加えることで、エビデンス・レベルを向上させることができると考えてきました。
甲状腺微小乳頭癌のアクティブ・サーベイランスや低危険度乳頭癌に対する甲状腺切除範囲の 縮小など、日本の内分泌外科医は、このような長期展望に基づく研究により実際に、 世界のガイドラインを書き変えてきたのです。
歴史ある日本医大内分泌外科においてもデータベースを整備し、地道だが価値の高い 臨床研究を引き続き展開することにより、患者さん中心の診療につながるエビデンスを 生み続けることができるでしょう。
また、日本医大には素晴らしい基礎医学研究者と研究施設がそろっています。 臨床経験に基づくアイデアを提供して議論を深めることで、真に必要な トランスレーショナル・リサーチが構築できる可能性があります。
内分泌疾患において高位のエビデンスを得るためには、施設の枠を超えた研究推進が必要 です。稀少疾患である甲状腺未分化癌に対する全国的な研究機構である「甲状腺未分化癌研究コンソーシアム」においては、日本医大内分泌外科が中心的な役割を果たしてきました。
そのほか、各種の新規薬剤の治験などにも積極的に参加しています。全国の内分泌・甲状腺 外科医はもとより、内分泌内科医や腫瘍内科医との連携を図り、そこでリーダーシップを発揮 することで、日本医大内分泌外科は世界の中で確固たる地位を築いています。
ぜひ内分泌外科ご入局を
内分泌外科医は必要十分な検査により的確な診断を行い、病態を正確に把握したうえで最良な治療法を選択して、それを自らの手で実行する「考える外科医」です。おのずと内科的感性も磨かれます。そして、QOLに最大限に配慮した美しい手術により、内分泌機能性疾患や腫瘍性疾患の患者さんの症状を劇的に改善させ、不安を取り除くことができ、治す喜びとともに大きなやりがいを感じることができます。疾患の原因や予後を決める要因、新たな診断法や治療法などを臨床医学的・基礎医学的に研究・開発する機会も豊富です。メリハリの効いた生活で、性別を問わず、多彩なキャリア・デザインを描くことが可能です。若い力の参加を、教室員一同、心よりお待ちしています!
女性医師ももちろん内分泌外科へ
甲状腺疾患をはじめ、内分泌外科が扱う病気は女性の頻度が高く、当教室は女性医師にとって格好の活躍の場となります。女性ならではの繊細さ、丁寧さが求められる領域です。
近年の女性医師の増加にともない、当教室でも女性外科医に対する環境整備とキャリア・パスの提示を重要視しています。男女の別にかかわらず、個々の生活状況に配慮した教室としてのバックアップ体制、仕事場でのアメニティの充実に努めています。