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内視鏡手術について

内視鏡1

当科の清水一雄初代教授が世界に先駆け1998年に開発した内視鏡補助下頸部手術(VANS法)は、経験数1000例を超えています。現在は年間80例以上と、国内随一の症例数を経験しています。
甲状腺疾患は若年女性に多く、前頸部を切開する通常法手術では傷跡が目立つため、生活の質(Quality of Life: QOL)を低下させる恐れがあります。一方、内視鏡手術では頸部に傷跡が残らないため、美容上優れています。 VANS法手術での傷跡は、片側の鎖骨下に3cm程度、側頸部に5mmの2箇所の傷で行います。

VANS法手術の適応となる疾患の目安は以下の通りです。

良性腫瘍 大きさが5〜6cm程度まで
悪性腫瘍 明らかな甲状腺外への浸潤がなく、
リンパ節転移がない(またはあっても最小限の)乳頭癌
バセドウ病 比較的小さな甲状腺(推定60g以下)

適応は個々の状態によりますので、詳しくは外来にてご相談ください。

・VANS法手術の長所

最大のメリットは、何といっても頸部に傷跡が残らないことです。写真のような襟元が開いた衣服でも傷は隠れます。

メリット1 メリット2

・VANS法手術の短所

通常法手術では前頸部のみ皮下剥離するのに対し、VANS法手術では鎖骨下から前頸部まで広範囲の皮下を剥離する必要があります。そのため、術後に鎖骨下〜頸部の違和感(硬い、つっぱる、飲み込みにくい等)や感覚低下(しびれ感)が生じやすい傾向にあります。しかし数ヶ月程度で解消していくことがほとんどです。
その他、手術時間がやや長くなることも挙げられます。以下ご参照ください。

術式 ①通常法手術 ②VANS法手術
傷跡の例(右葉切除の場合) 傷跡の例1
前頸部の襟状切開
傷跡の例2
鎖骨下に30mm
側頸部に5mm
手術時間 1〜1.5時間程度 1.5〜2.5時間程度
入院期間 いずれも術後3~4日程度で退院
起こりうる
合併症

(1)反回神経麻痺
(2)術後出血
(3)甲状腺機能低下症 等

(1)〜(3)のほか、
(4)鎖骨下〜前頸部の違和感、感覚低下
(5)皮膚熱傷 等

長所 手術時間が短い 頸部に傷跡が残らない
短所 頸部の傷跡が目立つことがある 術後の頸部違和感が生じやすい
その他 手術の安全性や確実性に明らかな相違はありません

・経口アプローチによる内視鏡下甲状腺手術(Transoral endoscopic thyroidectomy vestibular approach: TOETVA)について

現在、アジアや欧米各国を中心に、口腔内からの操作で手術を行う経口法内視鏡下甲状腺手術(TOETVA)が発展しており、体表に全く傷跡が残らない美容面に優れた手術方法として評価され、その安全性についても良好な報告が相次いでいます。しかし、日本国内ではまだこの方法が普及していないのが現状です。
当科ではVANS法手術以外の選択肢として、TOETVAによる手術を行えるように準備を進め、日本医科大学付属病院倫理委員会の承認を得ています(研究課題名:経口アプローチによる内視鏡下甲状腺手術(Transoral endoscopic thyroidectomy vestibular approach: TOETVA)の臨床研究)。関心のある方は医師までお問い合わせください。